l'orbite elliptique

  あらゆる方向に進め!

2008-06-17(Tue)

無念果てしなく [雑文]

 彼がこの世を去った。

 彼とは数年前とある場所で共に活動した仲間としての関係であった。
 実直そうな風貌の中に、大変な情熱を持っている人だった。時間が経つにつれ、彼が昔から卓越した才能の持ち主でありかつ多くの現場に出かけて実地調査を精力的に行い、それを研究成果として纏め上げるエキスパートとして嘱望されている人であることを知った。共に活動していた時期は長くなかったが、その後も少しばかりの音信はあった。また行きつけの掲示板での書き込みからも、パブリックな研究活動以外にも各地で精力的に活動されている姿はわたしにとってある種の羨望を抱かずにはおれなかった。

 その彼が、日頃の活動の一環として訪れていたあの地で、よもやあんな災いによって命を落とすとは…。

 友人から連絡を受けたとき、テレビでその状況を見ていたわたしにはその画面の向こう、そこに彼がいてその所在が今どうなっているのかわからない、そんな事があまりに現実感のないことでうまく思考できなかった。
 そして翌日、残念な報告を受け、それでもまだ現実のこととして考えられなかった。
 正直、今でもまだ彼にはまたどこか出会えるような気がしてならない。

 35歳。これから、まだまだ、たくさんやりたい事があっただろう。たくさんの研究テーマがあっただろう。そしてたくさんの車両たちと共にいたかっただろう。わたしの、わたしたちの無念以上に彼はもっと無念だろう。

 彼の抜けた穴はわたしという一個人にも、趣味の世界でも、学術研究の世界でも、あまりにも大きすぎる。わたしが彼のために出来ること、それはまだまだつながりのある地方のあそこで、それをわたしができる形で盛り立てる。それしかない。たとえそれが、彼がやろうとしていたことの100万分の1にもならなくても。

 あるとき、とある場所で彼と一緒に解体される車両から館への収蔵品を取り外す作業をやったことがある。時間が迫り、これからガスバーナーがあてられるそのぎりぎりまで、彼はその車両の横でじっと見ていた。そしてその場を離れるとき、彼はその車両をいとおしそうになでさすっていた。
 その光景がわたしの脳裏にまるで昨日のことのようによみがえってきた。


 それじゃ、また、どこかの線路端で。岸さん。

画像(550x413)

2000.10.29

Posted by Nia at 22:44

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