2012-11-23(Fri)
SIGMA DP2 Merrill [Camera[foveon]]
「いろいろ無茶なカメラ」・シグマDP2 Merrill。
多弁を弄さなくてもご存じの通り、シグマの旗艦たるSD1に搭載された46MPのFOVEON x3センサーを搭載したDPシリーズの新世代。目を見張る高精細な描写の反面従来からの「癖」も相当な部分で引き継ぎ、かつコンパクトとはいえ大柄なボディ。そしてバッテリー2個同梱を余儀なくされた激しい電池消費にエントリークラスの一眼レフやミラーレス機レンズキットが買えてしまう価格。決して万人にお勧めできない「存在そのものがピーキーな」カメラである。
これまでDP1s・DP2xでFoveonの個性ある描写にふれてきたわたしにとって、もちろん新しいセンサーにも少なからず関心はあった。しかし公式非公式問わずにもたらされる実写を見て感嘆はするものの、しかしそれだけでは決して安くない"Merrill"を購入する「決め手」とはならなかった。
わたしにとっての「決め手」は、そのユーザーインターフェイスだったのだ。
DPシリーズにはフルオートとかシーンモードとか、おなじみのコンパクト機が持っているような「便利機能」は搭載されていない。なによりも「あえて」DPを手にしようとする人はそのような機能を必要とはしないだろう。その部分でDPはシンプルで単純明快な造りだったが、Merrillに進化してそれがよりすっきりスマートになったように感じた。初代から筐体を同じうしてきた前までの世代はハードとしての操作部にファームアップで機能を「上乗せ」してきた部分があるし、そもそも単焦点なのにズームレバー流用のボタンがあったりして不細工な部分があったのは否めない。それを操作の要所はほぼ変えずにブラッシュアップした点が気に入った部分なのだ。
DP-Merrillの外見は非常にシンプルである。そのミニマムな操作系で必要かつ充分な操作を実現する。実際に使ってみて、前世代の操作体系をちゃんと引き継ぎながらもシャッター外周に配されたダイヤルでパラメータ変更を軽快に、レンズ外周をダイヤルにしてMFを直感的にしているところが「触って心地よい」感触であったことが決め手となったのだった。
また前世代からの進歩としてレンズがインナーフォーカスになって電源ONで鏡筒が伸びることがなくなり、49mmのフィルターなどが使えるネジ山が切られて応用が利くようになったことなど、「写真を撮る」ための細かな改良も嬉しいところだ。直接機能とは関係ないものの、新しいセンサーに開発者の名を冠しそれが更にカメラ自身の「世代名」となるところなど無味乾燥な型番で呼ばれるよりなんとも愉しいじゃないかとも思うし。
この"Merrill"は、同じDP1/2を名乗るだけの意味を持つカメラであることが前世代のユーザーとしても嬉しい限りであり、そんなわけで結果としてユーザーになった、これが顛末(という呼び方をしている単なる言い訳)である。

Posted by Nia at 21:09
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